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コラム

人事の勤怠管理の悩み「長時間労働」を解決するには

長時間労働の現状

現在、様々な企業で長時間労働による過労の問題が取り沙汰されています。人事にとっても長時間労働の問題を軽視することはできません。そもそも長時間労働の現状を見ると、若い人はもちろんですが、特に30~40代のいわゆる「働き盛り」の男性に長時間労働が広がっていることが、労働経済白書から読み解くことができます。この世代はバブルが崩壊した90年代のリストラ・採用が抑えられたことにより管理職は本来部下への適切な指示で仕事を回していくのに対し、部下の数が少なくなったせいで管理職の仕事+現場の仕事となってしまっており、それが長時間労働を生んでしまう要因にもなっていると考えられます。
現在ではこうした長時間労働を問題視し、労働時間を守るような取り組みを行っている会社も増加傾向にありますが、まだまだ長時間労働が改善されない会社も多いのが現状です。労働時間に関しては実は80年代後半に比べると時間数は少なくなってきています。以前は年間総実労働時間数は2000時間を超え、日本の労働時間が世界的に問題となりました。そのため労働基準法が改正され、週休2日制や週40時間労働を取り入れる形となっていったのです。ただ、平均の年間総実労働時間数は減っているものの、単純に働く時間が短い人と長い人が極端になっていることが要因と考えられています。
例えば、パートやアルバイトなどの非正規雇用者の労働時間は増えていないのに対し、正規雇用者の労働時間は増えてしまっています。非正規雇用者数も増えてきている中で、その分正規雇用者が長時間労働することによって企業は成り立っているのです。こうした現状は従業員にとっても、企業側にとっても問題となります。

長時間労働が生み出す様々な問題とは

長時間労働によって生み出される問題は様々なものがありますが、一番に考えられるのは健康問題です。長時間労働を行うということは肉体的にはもちろんですが精神的な負担も大きくなってしまいます。そのため長時間労働が行われることによってうつなどの精神性疾患や様々な病気、さらに過労死・自殺などといった事態に発展してしまう可能性がとても高くなってしまいます。これは人事にとってもかなり大きな問題となります。長時間労働のせいで精神性疾患や病気になってしまう人が増えた場合、仕事量は変わらないのに働ける人が少なくなってしまうので人員を補強しなくてはなりません。
しかし、素早く対処しなくてはならないと非正規雇用者を補強すると、仕事を新しく教えたり非正規雇用者だけでは賄えない仕事を正社員で賄わなくてはならず、結果的にまた長時間労働を生み出し、そこから様々な健康問題につながってしまうという、労働の悪循環となってしまうのです。ただ、このケースが全ての労働者や会社に当てはまるというわけではありません。今までダラダラと働いていた人がプレッシャーを与えられることで結果を出すという人もいらっしゃいます。しかし、こうした人はなかなか少ないと言えます。こういった長時間労働をなくすためには、人事の勤怠管理を改善させることにより会社自体の根本的な問題を明確化していく必要があります。もしも長時間労働が拡大しているのであれば素早い問題解決が重要となります。

長時間労働に対してのアプローチ

長時間労働が起きてしまうのは様々な原因がありますが、人員がいないにも関わらず仕事量が増えていることやクライアントからのスピーディーな対応が求められていること、さらには基本給だけでは生活できず残業手当がないと金銭的に厳しいといった声もあります。他にも有給休暇制度がある会社でも、他の人が取得しないため取得がしにくいという方もいらっしゃいます。こうした一人ひとりの意識も重要となってきます。
では、長時間労働をなくすためにはどのような着手が必要となってくるのでしょうか?一番はやはり、職場の社風であったり風土などを改革していかなくてはなりません。長時間労働を評価している会社は少なくなってきましたが、社員一人ひとりの考えとして、まだ残業=成果につながると考えている社員も多くいるのが現実です。世界の職場の多くは残業している社員は仕事ができないと思われてしまい、残業する社員はほとんど見受けられません。こうした社員の考え方を変えるためには職場の社風や風土自体を変える必要があるのです。
また、適切な勤怠管理を行うことで長時間労働の改善にもつながります。例えば、営業の社員が交通費や経費の精算、勤怠管理を行うためにデスクに向かう時間がありますが、これを短縮することで早く帰ったり他の作業に取り組むことができます。他にも人事が勤怠管理を行うことによって仕事が適切に割り振られているか、一つの部署だけ負担が大きいなど、配分がおかしくないかといったことまで確認することができ、こういったことから少しずつ長時間労働を改善させることができるのです。

人事が行うべき、長時間労働の勤怠管理対策のポイント

まずは人事部の労働環境を改善することが大切

長時間労働を改善に導くためには、まず人事がやらなくてはならないことは人事部の労働環境を改善させることです。人事部もたくさんの業務があります。例えば新入社員などの採用担当、業務内容ごとに適切な人員配置や部門構成、マナーやスキルアップに関する研修・教育、社員のモチベーションアップや成果に見合った報酬を受け取ってもらうための評価、社会保険や健康診断、福利厚生、安全衛生管理などに関する労務関連の業務、そして社員一人ひとりの勤怠管理などが挙げられます。経理と被る部分がありますが、多くの会社の人事部はこのような業務内容なのではないでしょうか。
長時間労働が日常的に行われている会社は、人事部に関しても業務が多く人手が足りない状態で、長時間労働をしているケースも少なくありません。上記で挙げた仕事を全てこなすのに多くの人員が必要となりますが、実際には一人の業務担当の量を増やすことで補っているのが現状としてあります。こういった長時間労働をしている部署から長時間労働に関する対策を打ち出されたところで、他の社員から見ると説得力がない状態になってしまいます。そのためいつまでも長時間労働を解決することができないのです。会社の労働時間を改善させるために、まずは人事内での労働時間の短縮や労働環境の改善に努めることが大切です。
労働環境の改善につなげるには、業務の負担を減らすことが重要となります。採用などは人間の目でのチェックが必要となるので手間を省くことはなかなか難しいですが、今までのシステムを改善することによって大幅な時間とコストの削減につなげることは可能となります。長時間労働に対する改善意識を高めるために、まずは人事内での業務内容を見直してみましょう。

適切な勤怠管理のポイント

長時間労働は過労死や精神病疾患などの労働災害につながる可能性が高くなるため、会社側としても適正な勤怠管理を行っていく必要があります。また、近年残業代が支払われていないということで会社が訴訟されてしまうケースも増えてきている現状があります。残業代を把握することはもちろん、長時間労働を増やさないためにも人事における勤怠管理は重要となります。しかし、こうした勤怠管理は日常的な管理が必要となり、人事からするととても賄いきれない仕事量になってしまいます。
特に給料前の締め日は集計作業や残業代の計算など、日常的な管理にプラスしてそのような作業が入ってくるため、それこそ長時間労働をしなくてはいけない場合もあります。こういった課題を解決するために、作られたのが勤怠管理・経費精算システムです。勤怠管理はもちろんですが、交通費などの経費精算も行うことができるクラウドシステムです。こういったものを利用することで適切な勤怠管理を日常的に取り組むことができ、集計作業もかなり楽になります。
また、このシステムを導入することによって残業代も素早く計算することができ、残業代が未払いなので訴訟されるという事態も防ぐことができます。今までのタイムカードなどはサービス残業の把握までに至るのは難しいと言われてきましたが、クラウドシステムを活用することでサービス残業までもしっかりと改善することができ、社員も残業しないことで業務を時間内に終わらせるために効率良く作業していかなくてはならないので、効率アップにつなげることが可能です。

具体的な取り組み

具体的な取り組みには先程紹介した勤怠管理・経費精算のクラウドシステムを導入することで勤怠管理の是正を図り、長時間労働の短縮にもつながることを紹介しましたが、他にはどのような取り組みが行われているのでしょう?例えば、「ノー残業デー」という取り組みを実施している会社は多くあります。ノー残業デーによってタクシー等に使う交通費などの様々な経費を削減することだけではなく、残業ができない分仕事をどう効率的に終わらせるかという社員の意識改革にもつなげることができます。
また、「残業はして当然のことだ」という認識を持つ社員の意識改革にもつながるため、会社側にも仕事効率という部分でメリットがあります。しかし、ノー残業デーにはデメリットもあることを知っておきましょう。ノー残業デーを行うことによって、残業できない分の仕事が他の日にまわってしまうということがまず挙げられます。一番良いのは効率を考えて仕事を終わらせ、次の日はその日の分の仕事を終らせるという形です。ですが、なかなかそううまくはいきません。翌日の仕事が増えたり残業できない代わりに家に持ち帰って仕事をする人も多くいます。こうした取り組みだけでは本当の改善は難しいと言えるでしょう。
成功した取り組みとしては、一つの仕事に対し一人ではなく二人が行うようにしたところ、効率性が高まり業務が全てマニュアル化されて、結果的に1日の平均残業時間が15分に短縮しています。また、業務配分が適切に行われていないことが残業の原因という認識が生まれ、管理者の業務配分も適切に行われるようになったようです。

人事で行われてきた勤怠管理方法は進化してきている

以前までの勤怠管理方法

元々「勤怠を管理する」という考え方が生まれたのは江戸時代から始まりました。数百人規模の大きなお店を管理するために、従業員の勤怠について管理していたとされています。ただ、これはあくまでもそのお店に限られていることで、他のお店でも行われていたかというと、家族経営が多かったことからあまり必要なかったのではないかと考えられます。ここから徐々に勤怠を管理するという認識が生まれ、現在の管理につながっているのです。ではその間どのような変遷があったのでしょうか?江戸時代からほとんどのお店などで活用されていた管理方法は、帳簿によるものでした。従業員一人ひとりに帳簿を付けることで労働時間を把握していました。しかし、産業革命が起こり大きな工場が増えていくと、一つの場所に対して労働者もかなりの人数となり、帳簿で一人ひとりをチェックしていくのは難しくなっていったのです。この頃アメリカでタイムレコーダーが誕生しました。日本でも1930年代にタイムレコーダーが開発され、多くの企業で採用されるようになりました。現在でも多くの企業で使われているタイムレコーダーはこれ程前から存在しているのです。出社時間・退社時間がカードを通すことで把握することができるタイムレコーダーには実は欠点が存在しています。それはタイムカードを集計するのにとても手間がかかってしまうということです。月に一度労働時間を集計し、給与計算を行うのですが、いちいち計算しなくてはならず、社員一人の労働時間を集計するだけでもかなり時間がかかってしまいます。また、労働時間の改ざんが簡単に行うことができるという点もあります。このような問題点があるため、管理が難しい方法となってしまっているのが現状です。

進化するシステム

今までタイムレコーダーが常識となっていた管理方法ですが、上記の項目で挙げた欠点もあることからそれを改善するために、現在様々な進化を遂げています。近年はシステムも進化を続けており、中には指紋認証など独自のシステムを構築しているところもあります。指紋認証まではいかなくとも個人がしっかりと特定できるようICカードを使用するなど様々な工夫が行われているため、労働時間の改ざんも抑えることができます。
もちろん他にもタブレットやパソコンを利用した管理システムがあります。また、パソコンに関しても1人1台パソコンが支給される会社であれば、労働時間の打刻画面に移りパスワードを入力すると出勤・退社になるものもあります。こういったタイムレコーダーに代わる様々な管理方法が出てきています。この管理方法を活用することで、今までの集計作業などを簡単に行うことができ、人事部や従業員の管理・入力に関する手間を一気に省くことができます。勤怠管理を行う上では企業側の管理も煩雑になります。システムを利用することで煩雑な処理を手軽に完了させることができ、導入する企業が増加しています。

労働と生活のバランスを考えた管理が重要

勤怠管理は江戸時代、手書きの帳簿から始まって現在では様々な認証システムを活用した管理へと進化を遂げてきました。こういった進化は様々な画面で見受けられますが、勤怠管理における進化は業務を効率化することによって労働環境を改善させ、働くことのモチベーションを高めることに繋がっています。労働管理をしっかりと行っていくことで労働だけではなくプライベートも充実させ、その結果労働力のアップにつなげることが目的となってきているのです。
近年、「ワークライフバランス」という言葉がよく聞かれるようになりました。これは労働と生活のバランスをとることで、充実した生活を送れるようにするものです。今まで日本人は世界に差をつけられないよう、労働時間を増やして作業をこなすなど、勤勉な日本人ならではの手法を行ってきました。しかし、現在では労働時間を増やすことは当然のことであり、生活よりも重視することという認識となっています。もちろん仕事が大切だということもありますが、あくまでも生活とのバランスが大切なのです。ワークライフバランスの取り組みを実施するにあたって、有給休暇などの休暇をベースに考えるケースが多くみられますが、実際はいかに仕事の効率化を進めていくかということではないでしょうか。会社や人事から休暇をとるようにしてくださいと言われても、従業員としては残った仕事を放置して休むわけにもいかず、残った仕事をどこかでしわ寄せするタイミングが必ず起こってきてしまうのです。
もちろん、人事にも同じようなしわ寄せが行われているはずです。ですから、仕事の効率化を最優先とし、その中で休暇取得に関しても考えていくという方向性の方が、本当の改善につながります。そういったことも考えて、新たな勤怠管理システムの導入は、ワークライフバランスにとって、仕事の効率化につながるシステムと言えるでしょう。

人事の悩み・勤怠管理をスムーズに行えるシステム

勤怠管理システムを選ぶ時のポイント

人事にとって勤怠管理システムは、仕事の効率化につながる重要な要素です。しかし、導入を検討するにあたり、様々な勤怠管理システムの中からどれを選んで良いのか分からないという方もいます。どのようなポイントを見ると会社にあったシステムを導入することができるのでしょうか?
まず一番に考えたい部分は「誰にでも使いやすいのか」という点です。従業員が使いやすく打刻が簡単に行えるというポイントだけではなく、管理者である人事部も操作するにあたって使いやすいものでないと、効率が逆に悪くなってしまいシステムを導入した意味がなくなってしまいます。そのため、誰にでも使いやすいシステムになっているのかを見ることは重要なポイントです。
次に「今まで使われていたシステムや、他のシステムと連携して使用することができるか」という点です。例えばスマートフォンを利用したものやICカードを利用したシステムは既存のものを使っているためシステム導入にかかるコストを抑えることが可能となります。人事にとっても導入コストを抑えられるという点は非常に魅力的な部分なのではないでしょうか。さらに勤怠管理だけではなく、交通費などの経費精算なども一緒に行うことができる管理システムであれば、業務を関連付けて行うことができ、より効率をアップさせることができます。
また、「会社の就業ルールに合わせることができるか」という点もあります。会社はそれぞれルールが異なっていますが、管理システムによってはごく一般的なルールに則ったものしか対応しておらず、自社のやり方にはそぐわないというケースがあります。このようなことを防ぐためにも事前の確認が重要です。

パッケージタイプとクラウドタイプの違い

最新の勤怠管理システムにはパッケージタイプとクラウドタイプという2種類に分類することができます。パッケージタイプとクラウドタイプではそれぞれ特徴点も異なるため、しっかりと把握し、メリット・デメリットをきちんと踏まえた上で比較するようにしましょう。まずパッケージタイプというのは、自社が準備したサーバーにシステムが入ったソフトウェアをインストールして使用するタイプのものです。自社サーバーで全てのデータ管理を行うことになります。対応も幅広く、現在の就業管理体制を引き継ぎながらの導入も可能です。コストはかかってしまうものの初期コストを支払えばその後の月額費用は安く済みます。
一方、クラウドタイプはインターネットのサーバーからソフトウェアを利用して勤怠管理を行うタイプのものです。データ管理は自社ではなくサーバーを管理している業者側が行うことになります。初期コストを抑えることができ、さらに短時間ですぐに導入可能というメリットも挙げられます。利用者数や利用期間によってはランニングコストがかかってしまう場合もありますが、システム管理などの運用は全て業者に任せることができます。パッケージタイプの場合、社員数が多く、情報を社外に一切出したくない、社内にシステム保守を行うことができる人間がいるという場合におすすめで、クラウドタイプは初期コストを抑えつつすぐに導入したい、社内にシステム保守を行うことができる人間がいないという時に利用すると良いでしょう。どちらも会社によって使いやすさやコストなども異なります。

人事の業務が楽になるのは、どんな勤怠管理システム?

人事の業務が楽になるのはどんな勤怠管理システムなのかというと、クラウドタイプの勤怠管理システムです。クラウドタイプであればパッケージタイプの際に必要なシステム保守といった業務を行う必要がなくなるため、業務の効率化に直結します。また、クラウドタイプシステムの多くはスマートフォンやICカードを利用したものとなるため、導入においても時間をかけずに行うことができるという利点もあります。もちろん、会社によってはパッケージタイプのものを利用した方が良い点もあるので、人事だけではなく会社側にとっても有益となるものを選びましょう。
また、中には専任のコンサルタントを用意されていて、様々なサポートについてくれるというものもあります。専任コンサルタントが導入の問題点や疑問点を解決し、現状を聞いて改善できるところを提案します。設置に関しても直接コンサルタントが会社へと出向き、話をすることができるため分からないことがあっても安心です。他にも導入してから様々なアフターフォローを行ってくれるところがあります。特にクラウドタイプはシステム運用・管理・保守を行っていくため、アフターフォローとして様々なサポートを行っているところが多いです。
例えば導入してからすぐに安定的に運用されるまでの間、なかなか社内に浸透せず戸惑ってしまう方も多くいらっしゃいます。そうした人にも使いやすくなるよう、アフターフォローが行われているのです。こうした勤怠管理システムを導入することは、これからの様々な管理においてメリットとなるでしょう。